この記事の結論
- 電気工事士の資格は「現場でしか使えない資格」ではなく、「施工管理」「設備管理」「電気系デスクワーク」の3方向に転身できる希少な武器
- 施工管理:第一種電気工事士があれば電気工事施工管理技士1級を受験できる、現場を離れて管理側に回るルート
- 設備管理(ビルメンテナンス):第二種電気工事士は「ビルメン4点セット」の中でも最重要資格、体力負担が小さく長く続けやすい
- 電気系デスクワーク:電気設計補助・積算・CADなど、現場の電気知識がないと務まらないポジションで即戦力になれる
- 資格の等級(第二種か第一種か)によって選べる選択肢の幅が変わるため、転職を考え始めた時点で上位資格の取得を検討する価値がある
電気工事士という資格を持ちながら、現場作業そのものに限界を感じている人は少なくありません。
高所での配線作業、天井裏の狭い空間での作業、真夏の炎天下や真冬の屋外現場。
資格そのものはしっかり持っているのに、「体を張る仕事」からしか選べないと思い込んでいないでしょうか。
電気工事士は、資格職の中でも「現場から内勤へ抜けやすい」珍しいポジションにあります。
電気配線の知識、法令・安全基準の知識、現場の段取り力という3つの武器を持っているため、施工管理・設備管理・デスクワークのいずれの方向にも進める可能性を持っているからです。
本記事では、電気工事士という資格を最大限活かせる3つの転身先を、特徴・向いている人・資格面での注意点とあわせて整理します。
1. 電気工事士が転職市場で評価される3つの理由
電気工事士の資格が転職市場で強く評価されるのには、はっきりとした理由があります。
- 国家資格であり、無資格者では代替できない業務独占資格である点。
電気工事は資格がなければそもそも施工そのものが法律違反になるため、資格保有者の希少性が保たれています。 - 電気設備はどんな建物にも存在するため、活躍の場が業界を問わず広い点。
工場・オフィスビル・商業施設・住宅、どの現場にも電気設備があり、それを理解できる人材の需要は途切れません。 - 「配線図が読める」「現場の安全基準を体で理解している」という現場感覚は座学だけでは身につかない点。
未経験者との差別化が明確にできます。
2. 電気工事士が狙うべき「3大転身先」の比較
仕事内容・体力面の負担・想定される年収の目安まで含めて、3つの転身先の輪郭を先に押さえておきます。

| 転身先 | 主な仕事内容 | 体力負担 | こんな人におすすめ | 想定年収目安 |
|---|---|---|---|---|
| ① 施工管理 | 電気工事の工程・安全・品質・原価の管理 | 中(現場と事務所の往復) | 現場は続けたいが、施工そのものからは卒業したい人 | 400万〜650万円 |
| ② 設備管理(ビルメンテナンス) | ビルや施設の電気・空調・給排水設備の保守点検 | 小(屋内中心、夜勤ありの現場も) | 体力的な負担を減らし、長く安定して働きたい人 | 300万〜450万円 |
| ③ 電気系デスクワーク | 電気設計補助、積算、CADでの配線図作成 | 小(完全屋内・座り仕事) | パソコン作業が苦にならず、じっくり図面と向き合いたい人 | 350万〜470万円 |
3. 転身先①:施工管理【現場を離れて管理側に回る】
施工管理は、電気工事の工程・安全・品質・原価をまとめて管理する仕事です。
電気工事士としての現場経験があるからこそ、職人に対して的確な指示を出せますし、配線・盤・分電の知識があるため図面の妥当性もその場で判断できます。
3-1. 「電気工事施工管理技士」という上位資格
施工管理の仕事に本格的に進むなら、「電気工事施工管理技士」の資格取得が視野に入ります。

第一種電気工事士の免状を持っていれば、実務経験の年数要件を満たしやすく、1級の受験資格に近づける点は大きなアドバンテージです。
なお、令和6年4月の制度改正により、1級第一次検定は19歳以上であれば実務経験なしで誰でも受検できるようになりました。
ただし第二次検定は引き続き実務経験が必要で、新受検資格では第一種電気工事士免状の交付を受けた後、実務経験5年(特定実務経験1年を含む場合は3年)を積む必要があります。
一方、令和10年度までは改正前の旧受検資格でも受検でき、この期間中は第一種電気工事士としての実務経験年数がそのまま活きるため、取得を急ぐなら早めに動くほど有利です。
今は第二種しか持っていない場合、施工管理を目指す前に第一種の取得を検討する価値があります。
第一種電気工事士は試験合格だけでなく、免状交付には実務経験3年(2021年4月の法改正で5年から短縮)が必要になる点も押さえておきましょう。
3-2. 向いているタイプ
- 職人への指示出しや工程調整など、人と関わる仕事に苦手意識がない
- 体力的な限界を感じつつも、現場そのものからは完全に離れたくない
- 将来的に独立や現場責任者を目指したい
4. 転身先②:設備管理(ビルメンテナンス)【安定・省体力の代表格】
設備管理(ビルメンテナンス)は、ビルや商業施設の電気・空調・給排水設備の保守・点検を行う仕事です。

電気工事の現場と比べて体力的な負担が小さく、天候にも左右されないため、長く安定して働き続けたい人に選ばれやすい転身先です。
求人自体も景気の波を受けにくく、未経験者を含めて安定した採用が続いている業界です。
4-1. 「ビルメン4点セット」の中心にいる電気工事士
ビルメンテナンス業界では、第二種電気工事士・危険物取扱者(乙種4類)・二級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者の4資格が「ビルメン4点セット」と呼ばれています。
4-2. 向いているタイプ
- 体への負担を減らし、腰や膝を守りながら長く働きたい
- 屋内での巡回・点検業務が中心の落ち着いた働き方を求めている
- 夜勤や当直がある働き方でも、生活リズムを調整できる
5. 転身先③:電気系デスクワーク【図面と向き合う仕事】
電気設計補助・積算・CADでの配線図作成は、電気工事士の知識がなければ務まらない完全屋内のデスクワークです。

未経験のCADオペレーターが配線図を引いても、「この盤の容量でこの配線は無理がある」という現実的な判断まではできません。
現場で実際に配線・結線をしてきた経験があるからこそ、図面上の無理・矛盾に気づける点が最大の強みです。
5-1. 向いているタイプ
- 電話対応や打ち合わせの多い仕事より、目の前の作業に没頭できる時間が長い仕事を選びたい
- 細かい図面のミスに気づく几帳面さがある
- CADソフトの操作は未経験でも、電気の知識を土台に学び直すことに抵抗がない
現場作業者全般が内勤職を目指す際のCADオペレーター・積算・施工管理事務という切り口については、別記事(元現場組が勝てる職種選定)でも詳しく比較しています。
電気工事士の場合はさらに「電気」という専門性が上乗せされるため、同じ内勤職を狙う場合でも競合が少なく、有利に進めやすいと考えてよいでしょう。
6. 今持っている資格の等級を確認しておく
3つの転身先のうち、施工管理を目指すなら第一種電気工事士があると選択肢が広がります。
設備管理やデスクワークを目指すなら、第二種電気工事士でも十分にスタートラインに立てます。
今の等級で目指せる転身先がすでにあるかを確認したうえで、より広い選択肢を持ちたい場合は上位資格の取得を並行して検討するのがおすすめです。
資格の取得には数ヶ月単位の準備期間がかかるため、転職を思い立った時点で早めに動き出すほど選べる道が広がります。
今日のアクション
- 今持っている電気工事士の等級(第二種・第一種)を確認する
- 3つの転身先(施工管理・設備管理・デスクワーク)のうち、自分が一番気になるものを1つ選ぶ
- 選んだ転身先の求人を1つ探し、応募条件に自分の資格・経験がどこまで当てはまるか確認する


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